私の良き友人であり、パートナーでもあるマッシモ・タンブリーニと私はいつも会う度に 「世界最高のパフォーマンス」を持つマシンを作りたいと語り合っていました。 そのイメージを具現化することは、複雑であり、困難を極め、我々は日々に追われる仕事の中で、 その計画をいつも一時的に棚上げせざるを得ませんでした。 そんな中、二人の討論はいつしかある一致点を見い出しました。 それは、「大排気量、4シリンダー」のエンジンを搭載すること、でした。 その新しいエンジンのイメージは、開発の長い経験の中から確かなクオリティーと高い技術力の中から 生まれてくるはずだと、私の頭の中で何度も何度もよぎるのでした。 そして、イメージは徐々に具体化しつつありました。 夢を実現に向けて多大な協力と助言をしてくれた数多くの人々。 そんな中でも特にピエロ・フェラーリ氏のことを忘れることはできません。 彼が我々にさしのべてくれたものは何物にもかえがたく プロジェクト実現の大きな原動力になったのです。 具現化へ向けて確かな手応えを感じ始めた私は次なるステップを踏み出しました。 まず世界中のモーターサイクルの中でも、最も輝かしい歴史を誇る、 栄光の「MV AGUSTA」のブランドをカジバで購入しました。 世界中のサーキットでの勝利は数えきれない程の熱狂的なファンを生みだし、 現在に至るまで、何者もそれに匹敵するほどの大事業を成し遂げていません。 75回の世界チャンピオン、270回のワールドグランプリでの勝利を飾り3,027回の勝ち星を あげている「MV AGUSTA」は今や輝かしい伝説、いや、神話へと昇華しているのです。 私は続いて最も苦しい決断をしなければなりませんでした。 それはプロジェクト実現のために、テクノロジーで最も難しく、 スポーツ面で最も重要なワールドグランプリの500ccクラスへの参戦をあきらめることでした。 これは当然の事ながら、我々の最高の人材と、超高度なテクノロジーの結集を このプロジェクトに捧げる断固とした決意に基づいた決断でした。 しかしその結果、このプロジェクトはそれに関与する者だけにとどまらず「MV AGUSTA」の名を 耳にしただけで興奮し、もう一度頂点に引き上げたいと願っていた者全てを熱中させました。 プロジェクトはF4と言うマシン名を与えられ カジバのヴァレーゼの研究部門には、F4のエンジン企画と開発が委ねられ また、マッシモ・タンブリーニが指揮を執る、カジバリサーチセンター(CRC)にはバイクの スタイリングと他の全てのコンポーネントの開発が一任されました。 独特の高級感あふれる外観と、その洗練されたメカニカルな美しさによって 必ずや話題にのぼるであろうF4はこの最高の開発・協力体制から誕生したのです。 例えば、4輪のF1からダイレクトにインスピレーションを受けて選択した 「Radial」バルブタイミングシステムと、特別な移動可能のギアボックスは 完全に革新的で、レースに構想を得たエンジンを実現しようという意志の表明なのです。 全ての「MV AGUSTA」ファンの期待に応えるレベルの製品を創り上げる、 というゴールに向かって指針となったのが、 技術のクオリティー、スポーツマンシップ、そして競争力ある革新的なデザインでした。 ハードでしたが、しかし情熱を込めた仕事のおかげで 、設定していたゴールに到達することができました。 全てのファンの記憶の中に大切にしまっておいたブランドが新しく生まれ変わります。 カジバはF4とともに「MV AGUSTA」神話に新しい生命を吹き込んだのです。
Claudio Castiglioni クラウディオ カステリオーニ
私と、私が率います「カジバリサーチセンター(Centro Ricerche Cagiva=CRC)」は この世紀のプロジェクトのオペレーションを任されるという光栄に浴しました。 これは、モーターサイクル開発者として単なるスポーツ用マシンの開発を遥かに超越した 非常に意味深い作業でした。 「MV AGUSTA」ブランドを再生するF4。 このアイデアは私にとってすぐに特別の意味合いを持つものになりました。 なぜならば、私が開発者として最初に関わったマシンこそ赤と銀のツートンに彩られたマシン、 いうまでもなく「MV AGUSTA」だったのです。 今日、弊社社長クラウディオ・カステリオーニとアイデアを共にした 新しいエンジンのプロジェクトに着手し、それを世に送出すことに関与できたことは、 仕事面に限らず、「MV AGUSTA」の原点でもある世界の頂点への情熱を 感じているという面からも非常に満足しております。 CRCの同僚と共に、このプロジェクトに取り入れた数々のコンセプトはまず何よりも、 最大限の努力をし、驚くほど没頭して、それぞれの能力を最大限注入した人間たちの作品です。 CRCのチームワークと、各部署に浸透している最高の仕事を成し遂げたいという闘志によって 比類無きマシンを生み出す事に成功したのです。 また、さらに言えばCRCの置かれた、開発に専念できる特別な環境と立地条件がこのプロジェクトに 有益に作用したのは間違いありません。 F4は、その無限ともいえるテクニカルコンテンツ、採用したテクノロジー、到達したグローバルな クオリティー、完璧に個性的なデザイン、によって完全に他を圧して優越性を誇る マシンであると、確信しております。 特に外観のデザインでも、研究当初に予定していた「機能に沿った外観」という基準を満たし、 なおかつ機能を越えた美しさを醸し出すことができたと自負しております。 この大事業を行うにあたり、私と共に作業にあたったCRCの同僚の皆さん、 そしてこの製品が実現するチャンスを与えてくれた、弊社社長 クラウディオ・カステリオーニに改めて感謝の意を表したいと思います。 そして、このハイパフォーマンスの稀少価値のあるマシンの、全ての独特な特徴を 自分の目で発見できる幸運なファンの方々には必ず満足していただけるのではないでしょうか。
Massimo Tamburini Centro Ricerche Cagiva マッシモ・タンブリーニ カジバリサーチセンター
Giovanni Agusta氏が飛行機パイロット用パラシュートのデザインを行なった。